- 突然の運休で深まる謎
- 搭乗率不足が理由とは思えない・・・
- 【成田ー台北線】の増便に伴う【成田ーホノルル線】の運休
- 労働条件の悪さによりストライキが起こる
- 台湾の航空会社ゆえの波乱の道筋
- 日本と台湾の時代背景
- 時代背景からみる【チャイナエアライン】ホノルル行きの運休
- あとがき
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突然の運休で深まる謎
ハワイ旅行を計画中に、「あれ?なんであの航空会社のチケットが出てこないの?!」と疑問に思った人も多いはずです。私も、そのうちの一人です。
その航空会社とは、チャイナエアライン(中華航空)。
2017年の秋からチャイナエアラインの成田発ホノルル行きの便がすべて運休になりました。正確には、2017-2018年にかけての年末年始には期間限定で運行を再開していましたが、2018年1月9日から本格的に無期限で運休になりました。再開は未定です。
深まるチャイナエアラインのホノルル路線運休の謎。一体、なぜ運休してしまったのでしょうか。
搭乗率不足が理由とは思えない・・・
チャイナエアラインは、日系の航空会社に比べ格段に安い運賃でホノルルに行ける航空会社だったため、日本からホノルルに行く便の中では、チャイナエアラインの航空チケットから先に埋まっていくと言っても過言ではないほど日本人の利用者から人気がありました。実際に、私も何度も利用しています。
私はハイシーズンを避けてのハワイ旅行が主なので、閑散期とされる時期にチャイナエアラインのビジネスクラスを利用していましたが、それでも空席が目立つということはなく、いつもほぼ満席でした。
人気のあるホノルル路線の運休が、搭乗率不足によるものだとは考えにくいのです。搭乗率がホノルル路線運休の主な理由でないとすれば、他にどんな理由があるのでしょうか。
【成田ー台北線】の増便に伴う【成田ーホノルル線】の運休
チャイナエアラインでは、2017年の10月に大幅な運行スケジュールの変更がありました。【成田ー台北桃園線】の需要増加に伴い【成田ー台北桃園線】が増便されることにより、【成田ーホノルル線】が季節運行のみのスケジュールになると当初アナウンスされていました。
季節運行の文字どおり、2017-2018年にかけての年末年始には運行が再開されました。しかし、2018年の夏季には季節運行すらされず、2018-2019年にかけての年末年始に季節運行がされるかどうかも現時点ではまだわかっていません。実質的な無期限運休です。
路線を絞ることで、減らした路線に関わる現地空港職員などの人員削減や、空港使用料などの諸経費もかからなくなるため、大幅な経費節減につながります。しかし、今回は人気のホノルル路線が削減の対象になってしまい大変残念でなりません。それに、閑散期に運休をするばかりでなく、ハイシーズンの夏季ですら季節運行がされず運休のままなのも、非常に残念なことです。
労働条件の悪さによりストライキが起こる
2016年4月24日、チャイナエアラインの客室乗務員や従業員らにより、労働条件改善を求める大規模なストライキがありました。これにより、台北の桃園国際空港と台北松山空港を出発する予定だった67便の欠航が発表されました。この影響で、日本に発着する予定だった便も欠航になったほか、【成田ーホノルル線】においてもストライキの影響から遅延が出ました。
お客様にはこの度のストライキにより多大なるご迷惑をお掛けいたしましたことを深くお詫び申し上げます。ストライキの影響により明日以降も日本発着の以下の便の遅延・欠航が決まっています。遅延:●CI18便 6月24日(金)成田発 20:10 ホノルル着 08:40新しい時刻 6月25日(土)成田発 09:05 ホノルル着 21:35●CI17便 6月24日(金)ホノルル発 13:45 成田着翌日 16:55新しい時刻 6月26日(土)ホノルル発 03:00 成田着翌日 06:10(チャイナエアライン公式HPより引用)
この大規模ストライキは、同月に入って新たに導入された勤務制度に不満を募らせた従業員らが起こしたものでした。これより2万人以上の利用者に影響が出たと言われています。
従業員らにストライキを起こされてしまうような勤務制度を導入した経営陣にも問題がありますし、一度ストライキが起こってしまうと、利用者の中にも「またストライキが起こるのでは?」との不安も残ってしまいます。このような状況では、株主などの投資家離れも懸念され、「会社に資金が集まりにくい状態」となってしまうことが容易に想像できます。
チャイナエアラインにとって、勤務制度や労働条件の改善が急務となったために、前述したような大幅な運行スケジュールの変更が余儀なくされたのかもしれません。
【成田ーホノルル線】に関していえば、他の航空会社とは一線を画した「安さ」が魅力のチャイナエアラインでした。しかし、この「安さ」があだとなって従業員にしわ寄せが行き、低賃金に繋がって不満を募らせた、という悪循環になってしまっていたとすれば、ほんのちょっとくらい運賃を値上げしてでも、また【成田ーホノルル線】を復活させてくれたらいいのになと個人的には思ってしまいます。
台湾の航空会社ゆえの波乱の道筋
さて。ここからは、経費削減やストライキ以外の側面からホノルル線の運休について考えてみたいと思います。
チャイナエアラインは、「チャイナ」と名がつくので一見すると中国系の航空会社のように思われがちです。しかし、実際はチャイナエアラインは【台湾】の航空会社です。そして、台湾の航空会社であるがゆえに日本の空港で虐げられてきた過去があったのを皆さんはご存知でしたか?
もともとチャイナエアラインのホノルル行きの便は、羽田空港から出ていました。羽田空港が国内線メインの発着と、少数の近隣国の国際線の発着のみを行なっていた頃です。
この頃は、遠い成田空港まで行く必要がないので、東京近郊に住む利用者にとってはアクセスが非常によく、逆にありがたいものでした。しかし、なぜチャイナエアラインのホノルル行きは遠距離の国際線でありながら羽田空港から発着していたのでしょうか。それには理由がありました。チャイナエアラインが台湾の航空会社であるがゆえに成田空港を使いたくても使えない理由があったのです。これに関してはのちほどご説明します。
その後、チャイナエアラインのホノルル行きの便は、あるタイミングから羽田空港を使うことができなくなり、成田空港からの発着に変更になります。そのタイミングとは、記憶にも新しい羽田空港の拡張です。羽田空港が国際空港としての機能を果たすようになり、日本の主要な玄関口の一つとなった途端に、逆に成田空港へと追いやられる形でチャイナエアラインのホノルル行きは羽田空港から姿を消しました。羽田空港の発着で便利に使えていた東京近隣の利用者にとっては、一気不便なものになりました。
この成田空港を使いたくても使えなかった理由と、その後、羽田空港の拡張とともに成田空港へと追いやられた理由についてを考えるためには、日本と台湾との歴史を紐解いていく必要があります。
日本と台湾の時代背景
台湾といえば、みなさんご存知の通り、歴史的にみても波乱に満ちた土地です。オランダの統治下にあったり、日本の植民地になったこともありました。台湾って中国の一部でしょ?と誤って認識している人も少なからずいるかもしれません。台湾は、中国からすれば中国の領土だし、台湾の人からすれば台湾は台湾のもの。実際に台湾の人は、自分たちのことを「台湾人だ」と言い、中国人ではないことを強調します。台湾と中国は、今現在でもとってもナイーブな距離感で均衡を保っている土地なのです。
もともと台湾は資本主義であったために、同じ資本主義であるアメリカや日本と仲良しで、国際的にも認められていた立場にありました。しかし、1972年に、アメリカの大統領ニクソンが中国を訪問するなどして、中国に歩み寄りを見せ始めます。そこで焦った日本も、中国との外交に踏み出します。
その甲斐あって、日本と中国との外交が結ばれます。しかし、その際に中国側から出された条件のひとつに、「台湾は中国の一部であるので、日本政府は台湾を独立国家(国)として認めてはならない。台湾と日本で独自に外交を結んではならない」というものがありました。
その条件をのむ形で中国との外交が交わされ、今現在でもその条件のもとで中国との外交が行われているため、日本政府は台湾を国として認証していません。認証したくてもできないのです。それでも台湾とも仲良くしたい日本政府は、台湾を「我が国にとって、基本的価値観を共有する重要な友人」と位置づけているのです。
時代背景からみる【チャイナエアライン】ホノルル行きの運休
さて。話をチャイナエアラインに戻しましょう。
先述したように、チャイナエアラインは台湾の航空会社です。日本政府は台湾を独立国家(国)として認めてはならない、という前提があったために、中国をたてる形で、台湾の航空会社であるチャイナエアラインには、日本の国際空港である成田空港を使わせてあげられないという背景があったのです。その代わりに、国内線がメインの羽田空港の片隅で細々とホノルル行きの運行をしていました。しかし、その後羽田空港が拡張されて、都心からも近くて便利な羽田空港が国際空港として多くの利用客を集めるようになった途端に、羽田空港から追い出され、遠くて古い(と言っては失礼ですが)成田空港へと追いやられてしまった、という経緯があったのです。
そして、ついに今回、成田空港からもチャイナエアラインのホノルル行きが姿を消してしまいました。
これには、日本、中国、台湾を取り巻く複雑な時代背景に加え、過去に日本の空港で虐げられてきたチャイナエアラインの変遷からみると、台湾の航空会社であるチャイナエアラインに、国際的な何かしらの圧力がかかったという可能性も否定できないのです。単に経営不振の一言では済まされない運休の理由が密かにあるのかもしれないと私には思えてしまうのです。
あとがき
チャイナエアラインのホノルル行き無期限の運休に、正直ショックを隠せません。これによって「一気にハワイが遠くなった・・・」と感じている人は私だけではないはずです。もしこの無期限の運休が、従業員をとりまく労働環境の改善のためや経費削減のためであるとすれば、それらがクリアになり、いつの日かまた多くの日本人がチャイナエアラインでハワイに行ける日がやって来ることを私は切に願います。
最後に、これは、チャイナエアラインの関係者でもなんでもない、あくまでチャイナエアラインの利用者である私一個人の考察であることをご承知いただければと思います。
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